キビナゴの刺身(2025/03)


黍魚子:ニシン科の海産硬骨魚。全長約10cm。体は青褐色で、広い銀白色の縦帯がある。南日本産。4~5月頃の産卵期に波打ちぎわに群集。(以上、広辞苑で調べました。「広辞苑」に齢を感じるでしょ。)

その夜は、大分県佐伯市(旧蒲江町)蒲江竹野浦河内に宿をとった。
当地、蒲江に宿をとるのは 1974/12 以来二度目となる。
もっとも、前回は蒲江畑野浦であったが・・・

この写真は 1974/12-1975/01 春の大学卒業を前に、高校時代のサイクリング仲間と共に九州を走った時のものだ。
最後尾を走るのが「私」。当時の冬期決戦用?赤色毛糸の帽子が懐かしい。

海辺で戯れる輪友。みんな若いね。

春分の日まであと僅か、九州の地でもあり、日差しが残る中での夕餉のスタート。ビールも大瓶だ。

平目、鰤、烏賊の刺身盛合わせ。蛸の酢の物。焼き物が続く。

燗酒は「西の関」(大分県国東市)

二合徳利も残り少なくなったあたりで、キビナゴの刺身&鯵フライのお出ましだ。
運んできてくれた女性の顔を何気なく見ると、若返っつている。(ご関係の方々、失礼)
伺うと女将の娘さん。若女将なのだ。
キビナゴは、漁師である若女将のご主人が本日水揚げしたもの、今まさに旬を迎えようとしていること・・・
当地、蒲江は、芥川賞作家を輩出していること(2015受賞「九年前の祈り」小野正嗣氏 1970 蒲江生まれ)・・・
話は、尽きなかった・・・

西の関でいただく、旬肴キビナゴ、ご当地話、文句なし旅の味でした。

翌日も、好天。

朝食も、海の物尽くし。
女将から「峠の上で食べて下さい。」と、持たされた特大のおにぎり。
海産テンコ盛り二食付、ビール大瓶、酒二合、サービス特大おにぎりで、10,000円でお釣りがきました。ご馳走様でした。

学生時代、当時、秋葉原にあったニューサイクリング誌の編集室を訪ねたことがあった。
今井彬彦編集長から「君は、立案した計画の通り、走ろうとするのかね?」と云った趣旨の質問を受けたことがあった。
私は「走りたいように走って、その通りとなるような計画を立てたいのです。」と返したような記憶がある。
正に、スピード山岳サイクリング先発完投型の真っただ中のことだった。

当時の私(達)には、今井彬彦的世界(サイクリング感)と云う概念があった。
偶々、道を尋ねた方と、時間を忘れ話し込む・・・
計画性とは真逆、偶然の出会い、出来事・・・
いつの日か、そんな大人の走りが出来るような日が来るかもしれない。と。
それでも、当時は、走りたいように走ることに集中していた。

とある漁港で、ランチタイムとなった。
本日は、女将が持たせてくれた「おにぎり」だ。峠の上ではないが・・・自販機もあるし・・・
オリコミチラシとラップに包まれた「おにぎり」は、表面に黒ゴマ、サイドにはフリカケと、なかなかカラフル。

さてと、と、ラップを外すと、裏側にオリジナルとろろ昆布&ちりめんじゃこが隠れていた。正に、隠し味。
ある意味、とても贅沢な時を過ごしている感覚に包まれていた。

私は、今、あの頃の今井氏の年齢を遥かに超えている。
まだまだ、大人の走りは、遠いのかもしれない。
未だ、巨星の背中は大きく、遠い。

いい味だった。いい宿だった。そして、いい旅だった。