温泉民宿(2022/03)

此の温泉地、登り口からの道中、温泉地名の案内板は見受けられたものの、個別の宿看板は一切見当たらなかった。
硫黄の臭いに導かれ、やがて共同浴場前に着いた。
「西郷どんゆかりの湯」・・・鹿児島だもの、そうきたか。

当地の名物は「スメ」料理。温泉の蒸気で、野菜や卵を蒸したやつである。

共同「スメ」場があり、観光客も300円で利用できるらしい。

共同浴場のオバちゃんに、宿の所在を教えてもらいどうにか辿り着いた。
やっぱり玄関先まで、一切の看板はなかった。
はっきり言えば、他に温泉宿風の建物は見つからなかった。
オンリーワンの宿なのだろうか?

民宿を名乗っているものの、内湯は共同浴場風で趣があり、露天もそこそこだ。
身体にも、懐にも、優しい湯だ。

当然(失礼)館内設備は限られ、湯上りのおビールを販売している自販機などあろうはずもない。
そこで、自室に戻る前にフロントで一声掛ける「女将さん、おビール1本!」
かくして、夕食前の至福の時間が訪れるのでした。

宿の前には、当家専用の「スメ」が、

成るほど、専用「スメ」だから、肉・魚介もOKなのだ。

おかゆの中には、卵・餅まで。

ご当地名を冠した焼酎もあるぞ。
此処は鹿児島、今夜は地酒ならぬ地焼酎だ。

ところで、お湯割りは、先に湯、後から焼酎ってご存じですよね。

朝湯は、午前6時からと説明を受けており、6時少々過ぎに内湯へ。
私が脱衣場に入ろうとすると、女将が慌てて飛んできて「寝坊しました。お湯の温度が・・・」
前日に、温ければ熱い湯を足し、熱ければ水を入れ冷やす。と、わかり易い説明を受けていた。
温い湯が好みなので「私がやります・・・」と、本件は引き取った。
一晩経って、湯の温度が下がり、温い湯に浸かりながら熱い湯を足していく・・・
しかし、私の考えは微塵に打ち砕かれた。一晩経って、湯は適温を超えかなり熱くなっていたのだ。
しかも、冷たいはずの冷却水も、地熱の影響ででぬるま湯状態。

湯を冷ますのに、ひと汗かいた。
まあ、本日は、ゆっくり行きましょう。
雨模様の窓越しに、鰻池が静かに横たわっていた。