年配の方にはお馴染みと思う、山と溪谷社・アルパインガイド。
「全国いで湯ガイド」昭和46年8月20日の初版発行本である。
実業之日本社・ブルーガイドブックスと共に、山好きの方はお世話になった人も多いと思う。
50年前の温泉ガイド、何を今さらとも思うが、温泉名下の3ツ星が「いい湯だよ!」と手招きをしている。
島根県海岸沿いは、東は出雲周辺・西は浜田周辺は既走だが、その中間の大田・江津あたりは未走であった。
これといった峠との組み合わせが難しい、此の湯は、丁度そこに湧いている。
50年の歳月がそれを物語っている。
JR温泉津駅構内の温泉宿の看板。
最近は、この手のわかり易い?看板は余り見かけなくなった。
それだけ、私には、期待が持てると云うものだ。
前泊地は近場にしてあり、当地には正午頃には到着していた。
サア、昼風呂だ。
共同浴場(源泉)3ケ所のひとつ、薬師湯。
日本温泉協会認定、(1)源泉の所在・湧出の形態(2)泉質(3)引湯方法と距離(4)給湯の方法(5)加水の有無(6)新湯注入率等の各評価項目でオール5を取得している、全国に14軒しかない湯のひとつとか。
湯の華が鍾乳石のように、床を覆いつくす様は圧巻。
「熱めの湯のため、入浴と、浴槽の淵に椅子を置き身体に湯を掛けるスタイルとの併用」を勧めてくれたのは、番台を預かる佐藤栞里サン似の若手癒し系。(お言葉に従い、満喫しました。)
薬師湯二階からは、温泉街が見渡せた。
通常、温泉宿と云えば2食付がノーマルだが、自宅出発前にネットで検索したところ、当夜一人泊を請けてくれる宿が1軒しか見当たらず、他の宿に電話で問い合わせる元気もなく、素泊まりとの条件を応諾し宿をとった。
宿の内湯は薬師湯を引いているとのことだが、湧き出し口からの距離か、湯はややヌルめで私好み。
ご主人お勧めの居酒屋に、イザ出陣。
歴史ある温泉街には不似合いな(失礼)今風の居酒屋。
地元・温泉津産、天然わかめのピザ、他にご当地物いろいろ。
超地元、温泉街内の蔵元「開春」、+15純米超辛口、+3旨口・亀五郎、堪能しました。
翌朝は、6時から入れる元湯・泉薬湯(この泉質は、此処だけとか)へ、まだ真っ暗。
浴槽は3ツあり、初めての方・ぬるい・あつい、と、明快。
勿論「初めての方」に入りました。「ぬるい」は熱い。「あつい」は論外。
番台のお母サン(安心できる安定感がイイ)と、サイクリング・温泉談義をして表に出たら、すっかり明るくなっていました。
温泉津の名は、奈良時代の書物にはすでに見受けられ、温泉(ゆ)という小村にある津(みなと:渡し場)という意味とか。
ゆのつ温泉、再訪確実な湯が、またひとつ増えました。